vol.2【保健指導に自信をもちたい】

産業看護職駆け込み寺
産業保健師 今田
産業保健師 今田

『産業看護職駆け込み寺』は、「保健事業に携わる人の情報誌 へるすあっぷ21」で、2020年4月号~2022年3月号まで連載されました。

産業看護職のさまざまなお悩みに、ベテラン産業保健師の今田が教科書的な正解とはちょっと離れた斜めの視点(?)からお答えしています。

今月のお悩み <2020年5月号>

保健指導に自信をもちたい

 自分の保健指導に自信がもてません。面談では自分なりに工夫して話をしているつもりなのですが、対象者の方の態度を見ていると響いてないのが丸わかりで・・・。
 行動変容につなげるためにはどうアプローチすればよいのでしょうか?

工夫して保健指導をがんばって保健指導をしても相手に響かない・・・

私もたくさんそういう目に合ってきたので、何とかしたいと思う切実な気持ちお察しします。

ところで、もしあなた自身が保健指導を受けて行動変容するとしたら、どんな動機かと考えたことはあるでしょうか。

健診結果の異常をズバッと指摘されたから?

このままでは生命も危険になると説得されたから?

この方法は簡単だからあなたにもできると言われたから?

それちょっと違うかもって気がしませんか。

それなのに検査値や病気のことばかり説明したり、「生命が危険」という脅し文句で対象者を動かそうとしていないでしょうか。

極端な話、検査値を理解できなくても動機づけができていれば行動変容はおこります。

もし今うまくいっていないなら、動機づけの部分を意識してみてはどうでしょう。

ちなみに私は保健指導のやり方を学校で習った記憶がなく、他の看護職の見よう見まねからスタートしました。

研修に行ったり本を読んだり、自分なりに工夫してやっていましたが、うまくいかないことが多かったです。

今思えば、集めたノウハウを並べただけの自己流の保健指導だったので、自信がもてなかったし、対象者もなかなか行動変容してくれなかったんだと思います。

そんな私ですが、大学院で「行動変容理論」を学び直し、実際の保健指導や健康教育で活用する方法を身につけたことで、保健指導が劇的に変わりました。(*個人の感想です(笑))

行動変容理論には、健康信念モデル、変化のステージモデル、自己効力などがあり、「対象者を動機づけして行動変容につなげるためにどんなアプローチをしたらよいか」を教えてくれます。

動機づけのヒントもたくさん詰まっているので、先人の知恵があなたを助けてくれるはずですよ。

それからもう一つ。

行動変容しないケースが続いて自分の気持ちが折れそうなとき、立て直すために私はこう考えるようになりました。

たとえば野球では、全打席でヒットを打てるバッターなんていませんよね。

でも少しでも打率を上げるために、ひたすら練習量を増やすとか、コーチから指導を受けるとか、基本に立ち返るとか、滝に打たれてメンタルを鍛えるとか、自分に合うやり方で取り組みます。

保健指導も同じだと思いませんか。

どんなに優秀な保健師でも、対象者全員が行動変容するなんてあり得ません。

そう思えば少しは気持ちに余裕ができるでしょう?

それに、成功率を上げる魔法の方法などありませんから、ひたすら経験を増やすとか、指導者から指導を受けるとか、基本に立ち返るとか、滝に打たれてメンタルを鍛えるとか(笑)

自分に合う方法でやってみましょう!

いちばん早く、高い効果が手に入るのは「指導者から指導を受ける」方法だと思いますが、

それが難しい場合は「基本に立ち返る」方法、たとえば行動変容理論など科学的根拠のあるアプローチを取り入れてみるというのもおすすめですよ。

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