vol.24【医療機関や行政と連携したい】

産業看護職駆け込み寺
産業保健師 今田
産業保健師 今田

『産業看護職駆け込み寺』は、「保健事業に携わる人の情報誌 へるすあっぷ21」で、2020年4月号~2022年3月号まで連載されました。

産業看護職のさまざまなお悩みに、ベテラン産業保健師の今田が教科書的な正解とはちょっと離れた斜めの視点(?)からお答えしています。

今月のお悩み <2022年3月号>

医療機関や行政と連携したい

 産業保健活動を進めるうえで、今後は、医療機関や行政などの外部機関とも連携していきたいと考えています。連携体制を整えるために、まずは何から始めればよいでしょうか?

産業保健活動における連携先には、対象者の受診先の医療機関、地域の保健福祉の担当部署、産業保健総合支援センターや労働衛生機関など、さまざまな外部機関があります。

それら外部機関との連携がうまく機能すれば、多角的・複合的なアセスメントやケアが提供できるようになり、あなたの産業看護の幅もさらに広がりますよね。

がんばってくださいね!

ちなみに私の最初の連携事例は、対象者さんの話が漠然としていて要領を得なかったので、主治医の診察に同席したことがきっかけでした。

連携体制の整備はおろか、心構えもなく始めてしまい、あとから判断に悩むことが次々と出てきてたいへんでした。

その経験から、連携を始めるにあたりおすすめしたいのは、少なくとも『連携の目的』と『情報共有のルール』を明確にしておくことです。

たとえば、連携の目的が単に「産業看護職として多くの情報を知っておきたい」だと、業務量と気疲れを増やすだけになりかねません。

また、目的が「周りの関係者(産業保健スタッフ、職場の上司、人事労務担当者など)の困りごと解決」に偏りすぎると、

対象者本人の意思が見逃されたり、過剰な負担をかけてしまうこともあるのでご注意くださいね。

情報共有の面では、かかわる人が増える分、気を遣うことが多いです。

誰と、どんな情報を共有するのか、情報の管理方法や守秘義務の徹底、対象者本人の同意取得方法など、できる範囲でよいのでルールを決めておくと安心でしょう。

そして連携を始める前に、できれば連携先と顔を合わせておくと気持ちがらくになりますよ。

外部機関の研修などに参加した際に、担当者と顔見知りになっておくのもよいかもしれません。

私の初めての連携先は「怖い先生」という噂が多い主治医で、私も噂を鵜呑みにして怯えていました(笑)。

しかし実際に会って話をしたら、態度は素っ気ないけれど、面倒見のいい先生だったんです。

主治医のほうも、患者本人の話だけでは職場での様子(トラブルなど)がわからずモヤモヤしていたそうで、意外なほどあっさり受け入れてくれました。

その後はメールでのやりとりでしたが、スムーズに連携ができました。

ここまで、私のつたない経験談をご紹介しました。

医療機関でも、行政を含めた公的機関でも、快く対応していただけましたし、こちらからアクションをおこしたことを好意的に受け取ってくれていたようです。

あなたもあまり気負わずに、現在支援しているケースで始めてみてはいかがでしょうか。

行動したからこそ見えてくることもたくさんあるので、それを体制整備に活かせるとよいですね。

さて、この連載は今月号が最終回です。

2年間、お付き合いくださった読者のみなさま、機会を与え、支えてくださった編集部のみなさまに心より感謝を申し上げます。

私も、連載をとおしてたくさんの刺激を受け、成長させていただきました。

そして、これからもみなさんとともに楽しく産業看護にかかわっていきたいと思います!

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