『産業看護職駆け込み寺』は、「保健事業に携わる人の情報誌 へるすあっぷ21」で、2020年4月号~2022年3月号まで連載されました。
産業看護職のさまざまなお悩みに、ベテラン産業保健師の今田が教科書的な正解とはちょっと離れた斜めの視点(?)からお答えしています。
情報発信のマンネリ化を脱却するには?
健康教育や社内の掲示板・イントラネットを活用した広報など、さまざまな場面で情報を発信してきましたが、最近、マンネリ化しているのが悩みです。マンネリ化を脱却し、効果的な情報発信をするためにはどんな視点が必要でしょうか?
看護職から情報発信する機会をしっかり活用されていて、とても頼もしいですね。
私たち産業看護職は、自ら相談に来た人だけを相手に受け身でいるわけにはいきませんから。
とはいえ、機会の多さがマンネリ化にもつながってしまうのは悩ましいところです。
マンネリ回避にはやはり、【企画を工夫すること】が大事かなと思います。
前提として「こちらが知っておいて欲しいと思うことと、相手が知りたいと思っていることにはズレがある」と意識しておくとよいですよ。
たとえば、「健康のために」「元気な老後のために」、などの切り口は正直つまらないです(笑)。
同じテーマでも相手が知りたいと思う切り口(美容、モテ、金銭面など)から光を当てると新鮮な印象になります。
私のかつての勤務先では、従業員の8割近くが、ほぼ一日中ヘルメット着用で作業をしていました。
そこで、毎月発行の健康新聞で、「ヘルメット着用と抜け毛」の切り口から、対策の一つとして「禁煙」を取り上げたところ、いつもより反響が大きかったです。
それから、【必ずしも目新しいテーマにこだわる必要はない】というのもポイントです。
たとえマンネリだろうが、毎年、熱中症の話題を発信し続けてきたからこそ、最近は夏になれば誰もが熱中症に気をつけるようになりました。
いつもスルーしている人でも、何度も目にするうちに、なんらかのきっかけで意識してくれることもありますよね。
大事なテーマは、自信を持って繰り返し伝えていきましょう。
ところで、もしかして情報発信が「明朝体フォントの文章を長々と読ませるスタイル」になっていませんか?
労働者は忙しいので、よほど困っていない限り長い文章を読んでくれません。
ならば、思い切ってイラストで内容を表現したり、ときにはキャッチーな見出し(〇〇するだけでOK!、裏技を紹介します!など)を使ってみてはいかがでしょう。
見た目の印象が違えばマンネリ感も薄れます。
そんな上っ面な方法は邪道だと思いますか?
ええ、私もそう思ってました(笑)。
でも、【とにかく関心を呼び起こす工夫】は意外と大事です。
また、【より自分事として受け取ってもらう工夫】もあるとよいですね。
たとえば、
チェックリストやフローチャートによるタイプ診断とタイプ別アドバイスとか、
損得感を刺激する(特に、損をするのはイヤという人は多い)とか、
クイズ形式(相手の頭に「?」を浮かばせて興味を引いてから情報提供する)とか。
探せば他にも方法が見つかると思います。
そして最後は、【あえてマンネリを味方にする】のもアリとお伝えしたいです。
シリーズ物や連載、次回予告を入れたりして、戦略的に同じパターンで継続することで、習慣になって見てもらいやすくなります。
編集後記で自己開示したり、従業員の声(インタビューや感想など)を紹介すると親近感がうまれやすいですね。
そこまでいけば、マンネリを楽しみに待っていてくれる人が必ず出てきますから。
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