『産業看護職駆け込み寺』は、「保健事業に携わる人の情報誌 へるすあっぷ21」で、2020年4月号~2022年3月号まで連載されました。
産業看護職のさまざまなお悩みに、ベテラン産業保健師の今田が教科書的な正解とはちょっと離れた斜めの視点(?)からお答えしています。
これからの支援の仕方に戸惑いが・・・
リモートワークの推進や健康教育・面談のオンライン化などによって、社員と顔を合わせる機会が以前に比べて少なくなりました。環境の変化に応じて支援の仕方も変えていく必要があると思うのですが、どうしたらよいのか戸惑っています。
看護はもともと、相手に直接触れて行うケアが多いですよね。
産業看護分野でも応急処置や血圧測定などで相手に触れますし、
ときには何も言わずにそばにいて相手の背中をトントンしてあげることも看護ケアだと教えられ、実践してきました。
そんな私たち看護職にとって「画面の向こうの相手にどうやってケアを提供すればいいのか」と、戸惑うのも無理はないと思います。
実は私も同じです。
右往左往しながらオンライン面談を実施してきましたが、そのなかで感じたのは「これも慣れなんだろうな」ということです。
新型コロナウィルス対策という思わぬきっかけで始まったことですが、オンライン化のメリット(たとえば、移動に伴う時間や費用の削減など)も認知されてきていますし、このまま定着していくものも多いと思われます。
そうであれば、今のうちにいろいろやってみて慣れておくというのもよいかもしれませんよね。
まだほとんどの人が慣れていない今なら、試行錯誤や失敗も受け入れてもらいやすいと思いますから。
その一方で、オンライン化は「コミュニケーション手段の変化」であって、看護職に求められている本質的なことに変わりはないと思うのです。
たとえば今までどおり、対象者の顔色や表情、ちょっとした言葉にも気を配り、取り巻く環境を理解し、対象者のニーズを拾い上げて対応する。
そのとき、あなたが蓄積してきた知識やスキルは引き続き役に立ちます。
そう考えれば、気持ちが少しらくになりませんか。
そのうえで、オンラインで健康教育や面談を実施する際の注意点(たとえば、事前準備の徹底、ゆっくりはっきり話す、リアクションは大きめに、など)を考慮しながら取り組んでみましょう。
もし、初めて会う対象者とオンラインで対面することに不安が大きいなら、事前に別の方法でコミュニケーションをとっておくのもおすすめですよ。
たとえばオンライン面談の前に、メールで「気になっていること、相談したいこと」の聞き取りをしたり、
「面談で〇〇についておうかがいしたいので、考えておいてくださいね」などとお題を投げ掛けておきます。
その際に、こちらの自己開示も入れると対象者の緊張が多少ほぐれるので、オンラインで対面したときに場が和やかになるまでの時間を短くすることができます。
それに、あらかじめお題について考えておいてもらえば、面談時に本題に入りやすいですし、対象者の参加意識を高めることもできますよね。
今までのやり方と違ったり、考え方や意識を変えることに戸惑いはありますが、その戸惑いの多くが、自分で体験するからこそ解決できるというのも事実です。
新しい支援のやり方を面白がりながら、いろいろ試してみましょう!
ちなみに私の場合、オンライン面談になっていちばんの利点と感じているのは、対象者に知られずに手元にカンニングペーパーを置いておけることです(笑)。
説明中に、よくど忘れしてあわててしまうのですが、そんなとき、とても助かっています。
ピュア産業看護事務所の保健師今田から、
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